千葉県立下総高等学校Shimofusa High School

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自動車部 心頭滅却すれば

今年もストーブの季節がやってきました。

そう、自動車部では、一般的には考えられない時期にストーブが大活躍します。

(ちなみに冬には風洞実験のために送風機が活躍するという季節逆行型の部活です。)

自動車部においてストーブは新型マシン製作の重要な工程、スクリーン(窓)製作に欠かせないアイテムです。

本校自動車部の狂気じみた活動のひとつ、夏にストーブを使ったスクリーン製作工程をご紹介しましょう。

 

ペットボトルにも使われているペット樹脂は温めると柔らかくなって成型しやすくなり、冷えるとそのままの形状で固まるのでスクリーン製作にはもってこいの材料です。

そのペット樹脂をまずは自作の治具に挟んで万力で固定します。

この治具を昨年作ったのが3年生の秋山くんです。今年もリーダーとしてスクリーン製作の指揮をとっていました。

 

「自分が1年生の頃はもっとすんなり作れたんですよ。」と話す秋山くん。

当時は力のある先輩がいて、その先輩と秋山くんの2人で面積の小さな側面のスクリーンは作っていたのに、今は3人は必要なんだとか。力の入れ具合の調整も、連携をとるのも2人だからやりやすかったのかもしれません。

 

今一番苦戦しているのはフロントスクリーンです。

面積が大きく、均一に温めるのも型に押し付けて引っ張るときのパワーバランスも難しいのだとか。

「最初からうまくいくとは思っていません。一度目は練習のつもりでやってみて、その時にできたしわなどを見て、どっちの方向にもう少し力を入れればいいかなどを分析していきます。」

失敗してもそれを決して無駄にするわけではないのです。

 

スクリーン製作を引っ張って行ってくれている秋山くんの印象を2年生の前﨑くんに聞いてみました。

「本当に頼りになる先輩です」

たくさんの後輩を指導しながらプレッシャーもあると思いますが、それを特に表に出すことなく飄々としていて確かに安心感があります。

同じく2年生の堀口くんも「かっこいいです。来年、自分もああいう風になれていればいいなと思います」と話していました。先輩の背中を見て後輩も順調に育っているようです。

 

本番に入る前、秋山くんは一人、治具を型にあててイメージを膨らませていました。

3年間で最後のスクリーン製作です。何か思うところはありますか?と尋ねると「早く終わらせたい」と苦笑いして答えてくれました。

 

というのも、ペット樹脂を柔らかくするのにストーブを使って温めるのですが、これが笑えない程暑い。

熱が逃げないように部屋を閉め切って、スクリーンが変形しないように大勢で支えるためストーブの周りに密集します。噴き出す汗が目に入っても、両手がふさがっているので拭うこともできずに苦しんでいる部員もいました。

 

それでも秋山くんはその中で暑さを感じていないんじゃないかと思わせるほど作業に集中していました。心頭滅却すれば火もまた涼しということわざを思い起こさせてくれるような姿です。

 

ここで温め方にムラがあると柔らかさにもムラが出てしまい、成型もうまくいかないため、均一に温まっているかを点検して「もう少し左にずれて」など細かな指示を出していました。

 

均一に温まっていい柔らかさになったところで型に押し付けます。

それぞれが引っ張るタイミングを合わせて、引っ張り具合にもムラができるとしわになったり歪んだりしてしまうので、ここも均一に力を加えなければなりません。チームワークがカギになります。

一回目は予想通り失敗。

引っ張るタイミングや方向がうまくいかずにしわだらけになってしまいました。

成功の秘訣は?と聞くと「運です」と冗談交じりに答えていました。秋山くん、まだ余裕があるようです。

 

結局この日は3回トライしてうまくいかず。明日も負けずにトライします!

もてぎ大会まで残り2週間!作業も大詰めです!前向きに頑張っていきましょう!