千葉県立下総高等学校Shimofusa High School

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自動車部 チームワークを発揮するための条件

少し前の話になりますが、新型マシンの製作に追われる自動車部では、フロントスクリーン(窓)の製作が行われていました。

 

スクリーンにはペット樹脂を使います。ペット樹脂は温めると柔らかくなって成型しやすく、冷めるとそのまま固まってくれる性質をもっているので加工がしやすいのです。…が、スクリーン製作は決して簡単な作業ではありません。

まず型に押し付けるときに使う治具を用意します。これももちろん型のラインに合わせて部員が手作りしたものです。この治具の形がいい加減だと、型に押し付けるときに力が均等に伝わらずに変形してしまいます。ペット樹脂の大きさも、治具を挟む角度も、マニュアルはなくすべて経験に基づいて割り出していきます。

 

治具に挟んだペット樹脂をストーブで熱します。全体がちょうどいい柔らかさになるまで、素手で触って点検します。

至近距離のストーブはなかなか辛いものがあります。昨年から製作スケジュールを変更してこの時期になったのですが、それまでは夏にやっていたのだから狂気の沙汰としか思えません。

「まだ春のうちにやることで体力的には楽になりましたが、気温が低い分、樹脂がなかなか温まらないし、型に押し付けると瞬時に冷やされてすぐに固まってしまうので、難易度は上がりました。」

と話してくれたのは部長の永長くん。ボディ班の3年生でもある永長くんは、スクリーン製作のリーダーとして部員を引っ張ってくれました。

 

ペット樹脂が温められて十分に柔らかくなったら型に押し付けます。何人もの高校生男子が目いっぱいの力で押し付けます。それでも、ただ馬鹿みたいに力を入れればいいってわけでもなくて、力を入れるタイミング、力の入れ方、力の入れ加減、力を入れる向きなど、全体のバランスを見て調整しなくてはなりません。これが、本当に難しい。

失敗作を量産しながら何度も試行錯誤を繰り返します。

 

さらに、治具で押し付けるだけだとどうしても浮いてしまう箇所があるため、そこは素手で抑える人が必要になってきます。

なんで素手?熱いんだから軍手とかすればいいのにと思いきや、軍手の網目がスクリーンに転写されてしまうからダメなんだそう。ストーブで熱したペット樹脂は熱々です。

さすがに火傷してしまうので、ペット樹脂をストーブで熱している間、バケツの水で手をキンキンに冷やして備えていました。

 

そうして、みんなの力が集結して完成したスクリーンがこちら。

 

「(春休み明けだからか)人数がそろわないことが多くて、昨日うまくいったとしても、そのうちの一人が次の日休んでしまうと、そこをカバーしようとしても力の入れ方とか加減が変わってしまって、うまくいかないんです。」と教えてくれたのは2年生の副部長、小関くん。

「休まずに部活に参加してもらうことの大切さを痛感しました。」と副部長としての反省をにじませました。

 

部長の永長くんも「スクリーン製作はチームワークが必須です。力を入れるタイミングがそろわないと、すぐしわになってしまう。でも、チームワークを発揮するためにはまず人数がそろうことが絶対条件です。」と話してくれました。

 

スクリーン製作はボディ班の仕事ではありますが、部員全員が協力しなければ成しえない作業です。普段はエンジン班やタイヤ班と分かれて作業している部員も、ひとつになって協力することで、大会前の良い準備運動になっているのだなと感じました。

出来上がったスクリーンはフロント部分のみ。まだサイドのスクリーン製作があり、他にも新型マシンが出来上がるまでには、やらなくてはならないことが山積みです!

今回経験した失敗とその反省を、今後の部活動にしっかり生かしていって、さらに良いマシン、さらに強い自動車部を目指していけたらと思います。まずは、休まずに部活に参加すること!よろしくお願いします!