千葉県立下総高等学校Shimofusa High School

〒289-0116 千葉県成田市名古屋247 MAP
0476-96-1161

自動車部 全国大会レポート⑥

10月1日(土)にツインリンクもてぎにて開催された本田宗一郎杯Hondaエコマイレッジチャレンジ2017第37回全国大会での様子をお届けしている最終回です。今回は優勝したAチームのドライバー2年生の田中くんと、準優勝したBチームのドライバー3年生の石塚くんに話を伺ってみました。

―まずは優勝したAチームの田中くんから。本番走行前のテストコースで横転しましたが、そのことについて話を聞かせてください。

 

田中「つくづく自分はダメだったと思います。観察力と言うか慎重さに欠けている。」

―横転したときの様子はどうでしたか?

 

田中「コースを矢印に沿って走行する形でしたけど、それに慣れなくて急ハンドルになりがちでした。横転したところは90度より鋭角な左カーブになっていて、急ハンドルになった上にその先が上り坂だったのでスピードもそこそこ必要でした。気が付いたら後ろが滑る感覚があって左側がゆっくり浮き上がったと思ったら一気に転んでしまいました。」

 

どうやら自分の中で何度もリバイバルしたようです。以前同じ話を聞いた時よりもずいぶん流暢に話してくれました。

―そこで弱気にならずに見事優勝を勝ち取ったわけですが、その気持ちの切り替えはどうしたのですか?

 

田中「特に切り替えていません。横転したときからそんなに落ち込みませんでした。でも後で聞いたら結構おおごとだったみたいです。」

 

そう話す田中くん。状況を把握することは大事ですが、悲観的にならなかったところに田中くんの強さがうかがえます。

―それに対して石塚くんは何か思うところはありますか?

 

石塚「一番最初のドライビングでスピンしたときもケロッとしてたから、今回もメンタルは大丈夫だと思っていました。」

 

石塚くんが話しているのは昨年のもてぎ大会の練習走行時、田中くんが1年生で初走行をしたときのことです。初走行にしてコース終盤の上り坂でスピンをしてしまった田中くん。一同が心配する中、田中くんはスピンしたにもかかわらず「おもしろーい」と走行できることを楽しんでいました。

その時に、コイツは大物だと誰もが感じたのでした。

 

石塚「ベトナムでもやらかしそうで心配です。」

副賞として来春招待されるベトナム大会には田中くんがドライバーとして出場する予定ですが、石塚先輩がそれも心配だと言うと

 

田中「一度失敗しているからもう失敗しない!こういうのは慣れです。もう気持ちの上ではベトナムのコースも走ったようなもんです!」

とムキなる田中くん。

―田中くんから見て、石塚先輩のドライビングで見習いたいところはありますか?

 

田中「やっぱりドライビングテクニックすごいですね。」

石塚「とにかく回避能力をもっと身に付けてほしい。」

田中「ラインどりも見習いたいです。すごいインベタなラインどり。」

 

田中くんから見るとまだまだ学ぶところの多い石塚くんのドライビングテクニックですが、今回、その走行動画を見てみると、コースの内側ギリギリを攻めている(俗にいうインベタ)場面がありました。

 

―インベタで走ることにどういう利点があるのか教えてください。

 

田中「自分はコースの内側を走るとゴミがたまっているから、あまりインベタで走るなって話を前に聞いたことがあったのに」

 

石塚「今回、コースウォークをしているとき先生に教えてもらったんです。コースの傾斜が外側に行くほど長く続いているところがあって、内側の方が傾斜はきつくなるけど短い時間でスピードをあまり落とさずに登れる。だからここは、できるだけ内側を走った方が良いって話をしたんです。」

 

その場にはもちろん田中くんも一緒にいたのですが、その時はよく理解できなかった様子。

 

それでも優勝を勝ち取った田中くんにその秘訣を聞いてみました。

 

田中「タイヤを新しくしたのですが、バランスをとる作業を、石塚先輩がすごく頑張ってくれたのが良かったと思います。自分のマシンはほとんどブレがなくて驚きました。」

 

タイヤのバランスをとる作業は慣れないととても時間のかかる作業ですが、後輩に教えながら最後の数日で一気に片づけてしまった石塚くんの仕事の速さには一同驚きました。

ただ、マシンも新しくて自分より体重の軽い田中くんの方を優先してタイヤの整備を行った石塚くん。自分のことを先に考えるより、チームの利益を優先するところが立派な先輩だと感じました。そしてそれをちゃんと理解して自分の仕事を成し遂げ、先輩の仕事を称える田中くんも、やっぱりいい後輩です。

二人の印象を2年生の秋山くんに聞いてみると

「普段、部活の中では腹黒いとか言われている2人ですが、どちらも本当はすごくちゃんとしている。」

部長の厚海くんも

「石塚も田中もいい加減なように振る舞っているけど、どちらも丁寧に仕事をしてくれている。」

と似たようなことを話してくれました。

二人とも本当に似た者同士で、普段は口が悪くてふざけ合っているのが目立ちますが、堅実なドライビングテクニックを持つ石塚くんと、鋼のメンタルを持つ田中くん、どちらもドライバーとしては立派な適性を持っているいいコンビなのです。

11月18日(土)には石塚くんのラストランとなるEV競技会が日本自動車大学校にて行われます。

石塚くんと一緒に走行できる最後の機会、田中くんにはたくさんのことを石塚先輩から学んでもらいたいと思います。